防具付空手道とは

 錬武会の防具付空手道競技ルールは、「直接打撃・一本勝負」です。防具を装着した上段、中段への直接打撃によって技を競い合います。「一本」および「技有り」となる打撃強度は各団体のルールと比較しても厳しいと言われており、伝統的な空手道の動きに則った強打の気迫あふれる攻防が展開されます。

 伝統的な動作を重視する観点から第39回全国大会までは廻し蹴りにおいては上足底による蹴りのみを技ありとしていましたが、技の多様化に対応するため、2001年の第40回全国大会より背足による廻し蹴りが認められるようになりました。加えて、それまで安全性に配慮して禁止されていた足払いも、技に繋げる目的で掛ける場合に限り解禁となりました。

 このように時代に合わせてルールを検証しながら、安全かつ強靭な一本勝負の空手道競技を行っております。

防具付空手道競技ルール概要

全日本防具付空手道競技規定、審判規定より抜粋

1、競技は1本勝負とする。

2、勝敗は1本勝ち及び判定による勝ち、又は反則、失格による負けにより決定する。

  延長戦は技有り先取り勝ち、または審判の判定により決定する。

3、競技時間

  一般・高校部門  正味2分  延長1分

  小学・中学部門  正味1分30秒  延長1分

4、1本の判定は次の各項による。

  ①正確、有効で威力ある突き、打ち、蹴りが次の②の状態で定められた部位に決まった場合

   を「1本」とする。また、1本に相当すると認められる有効技を「技有り」とし、技有り2回を

   合わせて「1本」とする。

  ②正しい姿勢、充実した気迫、残心、適正な間合い、正確な攻撃目標の把握等を満たす。

5、攻撃は次の部位とする。

  ①頭部(後頭部を除く)

  ②顔面部

  ③胸部

  ④腹部

  ⑤上半身両側部

6、禁止技と動作

  (ア) 防具を着用していない背面、後頭部、股間部への攻撃。

  (イ) 腕、脚部、足甲への直接加撃。

  (ウ) 無意味に掴み、組み打ち、暴力的体当たり。

  (エ) 危険な抱え投げ、逆さ落とし等の投げ技。

  (オ) 明らかな場外逃避及び競技時間の空費。(懲罰の対象とする)

  (カ) 身体を無防備にさらす、並びに罵倒挑発的言動、無用な発声、人格無視などの行為。

7、競技中は金的用のファールカップを着用する。(中学生以上)

8、競技中の眼鏡の着用は認められない


防具付空手道について


 戦前において、空手は柔・剣道その他の武道とともに武術一辺倒としてその威力を怖れられ、危険なかつ、神秘的な武技としてかぎられた者の間にのみ行われていた。われわれは先見をもって真の空手の興隆は実戦的かつ、安全にして明確な判定を下せる試合を行うべき必然性に着目し、終始一貫防具による空手の指導と研究に邁進して今日に至っている。なお防具については昭和の初期において沖縄空手の摩文仁賢和先生、宮城長順先生及ぴ一部の大学の研究会において研究実験されていた事実があり、その必然性を約70年もの前にこれら先覚者達は認めていたのである。

 戦後50数年にわたるわが国の驚異的な経済の復興とともに各種スポーツ 武道も発展し、国際的にリードし、あるいは比肩しうるまでに隆盛を誇るに至ったが空手もその例外ではなく、わが国の武道が全世界に浸透し国際的になればなる程、柔道の例の如くスポーツ化していくのは当然であり、それに伴う改良改革は必然であろう。いかなるスポーツにおいても安全、明確を無視したスポーツはない。

 遠く古代ヨーロッパにおいて行われた剣技、格闘術等が遂次試合化され一般化されて今日のスポーツの基礎となったように、人類の近代化発展とともにわが国の武道もいたずらに古い殻にこだわることなく進歩改良されるのは当然の趨勢である。空手においても一層の普及発展を図り、学校体育の正課採用等を期するためには、危険防止等についての世論の充分なる理解と支持を得ることが必要であり、さらには空手が世界のものとなり国際間の交流が盛んとなるに従い、世界各国に相通ずる安全、明確な試合方式をとるべきものとなるのは道理であろう。われわれは空手における伝統武道の精神を尊重しつつも、空手の競技化・スポーツ化の流れを歴史的必然とする立場をとるものである。

 われわれは防具付空手道をもって遂次拡大発展し、第1回大会昭和29年(1954年)より毎年全国の防具付空手道を修練する同志が結束し、一堂に会して全国防具付空手道選手権大会を開催するに至ったことは大いなる発展であり、画期的な防具の登場とともに、わが国の否、世界の空手界のこれからの道を方向づけるものであると確信するものである。